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24.痛さの程度と病気の重さは別である
 痛みというのは、完全に自覚症状で主観的なものだから当てにならない。

 他人の痛いのは10年でも辛抱する、と言うくらいだから、当人の痛みがどの程度なのかは他人には分からない。
 だから痛みで病状の軽重を判断すると失敗することがある。

 今にも死にそうに「痛い痛い」と跛っこ引いて訴える患者さんが、帰っていくのを見ていたら、鍼灸院出た途端さっさと歩いてることがある。
 逆に、かなり痛いはずなのに遠慮して「大丈夫です」と言う人もある。

 私たちは、訴えは勿論参考にはするが、患者さんの動きを観察する。
 歩行や立ち座り、ベッドの上がり降り、予診票を書いてもらう時の指の動き、ちょっとした所作などを見ている。
 動作が速く、軽やかになってきていれば、痛みは同じでも必ず良くなっている。
 痛みは無くなっても動きがぎこちなくなってきてる場合は、病態は悪化している。

 運動器系疾患だけでなく、例えばうつ病や脳の老化でも動作はノロノロになる。
 気が元気な時は動作はシャンシャンと弾んでいる、これはごまかせないもんだ。
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