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28.知らないほうが良いこともある
 U(女)さんは、76歳の時、一度MRIでも診てもらおうかと軽い気持ちで検査を受けた。
 たまたま中脳に小さな動脈瘤が見つかった。それはどうなるんですかと医師に聞いたら「切れたら死にます、(そんなストレートな言い方ではなかったかもしれないが、Uさんにはそう聞こえた)、気になるようなら手術しましょう」と言われたという。

 さあそれからが大変。切れたらもう終わりや、恐ろしくなり何をするのも頭を押さえてそろそろ・・・。
 当院へ来られて、ベッドに横になる時も頭を両手で支えて、そうっと動かさないようにゆっくりゆっくり寝る始末。

 1年くらいそんな状態が続いた。10年目に切れるのがあまりにも心配で、辛抱たまらずとうとう手術を受けた。
 今90歳になり以前より元気そうになった。昔なら分からないまま済んでいたのかもしれない。

 検査でたまたま発見され命拾いしたケ-スはもちろん多いが、知らずに済んだほうがいらぬ心配せずによい場合も多い。
 誰も自分の寿命は知らないから平気で暮らせるが、何年後の何月何日に死ぬと分かったらいくら長寿でも毎日落ち着かないだろう。
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